RAR圧縮におけるファイルサイズ設定の基本
ファイルを圧縮する際、特に大きなデータを扱う場合には、出力されるアーカイブのサイズを適切に設定することが重要です。RAR形式は高い圧縮率を誇る一方で、圧縮後のファイルサイズをユーザーが細かく制御できる機能を備えています。この設定を正しく行わなければ、保存先の媒体に収まらなかったり、アップロード先の制限に引っかかったりする可能性があります。ここでは、RAR圧縮時にファイルサイズを選ぶ基本的な考え方と、実際の設定方法について解説します。
WinRARなどのツールで圧縮する際、指定するファイルサイズは主に「分割サイズ」として機能します。これは、巨大なアーカイブを複数の小さなファイル(ボリューム)に分割するための値です。この値を適切に設定することで、アーカイブの取り扱いが格段に楽になります。例えば、電子メールで送信する場合は一般的に添付ファイルの上限が存在するため、その上限に合わせてサイズを決める必要があります。また、古いCDやDVDに保存する場合も、ディスクの容量に合わせた分割が求められます。
設定自体は非常にシンプルです。圧縮したいファイルを選択し、右クリックメニューから「アーカイブに追加」を選びます。表示される「アーカイブ名とパラメータ」ウィンドウ内に「分割してボリュームを作成」というフィールドがあり、そこに希望のサイズを入力します。この数値を指定しない場合、通常は分割されない単一のアーカイブが生成されます。目的に応じて適切な数値を入力することが、ファイルサイズ選びの第一歩です。
なお、分割サイズを指定する際には、圧縮対象のデータ総量も考慮する必要があります。例えば100MBのデータを700MBのボリュームサイズで分割しようとしても、実際には1つのファイルにしかならないため、分割の意味がありません。分割は元のアーカイブが指定サイズを超えた場合にのみ適用されます。したがって、サイズ設定はあくまで最大容量の目安として理解することが重要です。
分割サイズの指定方法と単位の理解
実際の操作画面では、分割サイズを入力するフィールドにそのまま数字を打ち込むことができます。しかし、その数字が何を意味するのか、単位を正しく理解していないと意図しない結果になりかねません。RARの分割サイズ指定では、バイト単位が基本ですが、キロバイト(KB)、メガバイト(MB)、ギガバイト(GB)などの単位を付加することで、直感的にサイズを設定できます。

具体的には、「700M」と入力すれば700メガバイト、「4.7G」と入力すれば4.7ギガバイトという解釈になります。数字だけを入力した場合、デフォルトではバイト単位として扱われるため、例えば「700000000」と入力すると約700メガバイトになりますが、間違いを防ぐためには単位を明示するほうが安全です。この単位指定のルールは、多くの圧縮ソフトで共通しており、覚えておくと便利です。
また、分割サイズを指定する際には、小数点以下の扱いにも注意が必要です。WinRARでは小数点を含む数値も受け付けますが、内部的には整数のバイト数に変換されるため、厳密なサイズを求める場合は端数が生じる可能性があります。例えば「4.7G」は4.7ギガバイトとして処理されますが、実際のバイト数は約5,046,272,000バイトとなり、ディスクの容量表示と微妙にずれることもあります。
さらに、設定可能な最小サイズにも制限があります。あまりにも小さいサイズ(例えば1KB)を指定すると、非常に多くの分割ファイルが生成され、管理が煩雑になるだけでなく、圧縮率の低下や処理時間の増加を招きます。実用的な範囲としては、少なくとも1MB以上を推奨します。特にネットワーク経由で転送する場合は、ファイル数が多すぎると転送効率が落ちるため、ある程度のサイズにまとめることが望ましいです。
用途別おすすめのファイルサイズ設定
ファイルサイズの設定は、その後の利用シーンによって最適な値が異なります。以下に代表的な用途と推奨サイズをまとめました。
- 電子メールでの送信: 一般的なメールサーバーの添付ファイル制限は25MB程度です。安全を見て10MBから20MBに設定すると、相手に届かないリスクを減らせます。
- クラウドストレージへのアップロード: サービスによって1ファイルの上限が異なりますが、多くは100MBから2GB程度です。100MBまたは500MBを目安にすると、アップロードの中断も少なくなります。
- CD-Rへの保存: 700MBのディスクが一般的です。700Mと指定すれば、1枚のディスクに収まるように分割されます。
- DVD-Rへの保存: 4.7GBのディスクが標準です。4.7Gと指定して分割することで、ディスク容量を無駄なく使えます。
- USBメモリや外付けHDDでの持ち運び: 特に分割の必要はありませんが、ファイルシステムの制限(FAT32では4GBまで)を考慮する場合は、3.9G程度に設定すると安心です。
また、以下の表に各媒体と推奨サイズをまとめました。状況に応じて選択してください。

| 媒体・用途 | 推奨サイズ | 備考 |
|---|---|---|
| 電子メール | 10 MB~20 MB | サーバー制限に注意 |
| クラウドストレージ(汎用) | 100 MB | アップロードの安定性重視 |
| クラウドストレージ(大容量) | 500 MB~1 GB | サービス上限を確認 |
| CD-R | 700 MB | 700Mと入力 |
| DVD-R | 4.7 GB | 4.7Gと入力 |
| FAT32形式のストレージ | 3.9 GB | 4GB未満に設定 |
これらの推奨値はあくまで目安であり、実際の環境に合わせて調整することが大切です。例えば、相手のメールサーバーが50MBまで許容している場合は、30MB程度に設定しても問題ありません。また、圧縮率によっては予想よりファイルサイズが小さくなることもあるため、余裕を持った設定を心がけましょう。
圧縮レベルとファイルサイズの関係
同一のデータを圧縮する場合でも、圧縮レベル(圧縮率)の設定によって出来上がるファイルサイズは変化します。一般的に、圧縮レベルを「最高」や「最大」に設定すると、より小さなアーカイブを得られますが、その代償として圧縮にかかる時間が大幅に増加します。逆に「最速」を選べば処理時間は短くなりますが、ファイルサイズは大きくなりがちです。
圧縮レベルとファイルサイズの関係は、データの種類にも影響されます。テキスト文書やプログラムファイルなど、規則性の高いデータは高い圧縮率が期待できますが、すでに圧縮された画像(JPEG等)や動画ファイルは、さらに圧縮してもサイズがほとんど変わらないことがあります。したがって、ファイルサイズを厳密に指定したい場合は、圧縮レベルを「標準」または「最高」に設定し、実際に数回テストしてから本番の圧縮を行うと良いでしょう。
また、圧縮レベルを高くすると、処理中にCPUに大きな負荷がかかります。特に古いパソコンやモバイルデバイスでは、圧縮に数十分から数時間かかることもあります。時間的な制約がある場合は、圧縮レベルを下げることで作業効率を上げられます。ファイルサイズと処理時間のバランスを考慮し、目的に合った設定を選んでください。
さらに、圧縮レベルと分割サイズの関係も無視できません。圧縮率が高いほど最終的な総ファイルサイズは小さくなりますが、分割する際の各ボリュームのサイズは指定した値に固定されます。例えば、700MBの分割を指定した場合、圧縮率が高いと元のデータがより小さくなるため、結果的に分割数が減ることがあります。ファイルサイズ選びの際には、圧縮レベルが総容量に与える影響を事前に把握しておくことが重要です。

辞書サイズが圧縮効率に与える影響
RAR圧縮では、辞書サイズというパラメータが圧縮効率に大きく関わります。辞書とは、圧縮時にデータのパターンを記憶しておくためのメモリ領域のことです。このサイズが大きいほど、より多くのパターンを学習でき、高い圧縮率を達成できる可能性があります。標準設定では32MBが使われることが多いですが、必要に応じて変更することも可能です。
辞書サイズを大きく設定すると、圧縮に必要なRAMの量も増加します。目安として、辞書サイズの6倍から10倍のRAMが必要とされています。例えば64MBの辞書を指定する場合、約384MBから640MBのRAMが圧縮中に消費されます。このため、搭載メモリが少ないパソコンで大きな辞書サイズを選ぶと、システム全体の動作が不安定になる恐れがあります。
また、辞書サイズは圧縮時間にも影響します。大きな辞書を使うほど、データの解析に時間がかかるため、圧縮処理が長引きます。逆に小さな辞書では、圧縮は速くなりますが、特に反復パターンの多いデータで圧縮率が低下します。ファイルサイズを最小限にしたい場合は、辞書サイズを大きく設定する価値がありますが、その分のコスト(時間とメモリ)を受け入れられるかどうかを検討する必要があります。
ただし、辞書サイズの効果はデータの種類に依存します。同じファイルでも、テキストデータやデータベースファイルでは大きな辞書が効果を発揮しますが、既に圧縮されたメディアファイルでは効果が限定的です。ファイルサイズ設定の一環として、辞書サイズを調整する場合は、対象データの特性を考慮することが大切です。実際にテスト圧縮を行い、最適なバランスを見つけることを推奨します。
実際の設定手順と注意点
ここまで述べた知識を基に、実際にRAR圧縮時にファイルサイズを設定する手順を整理します。まず、圧縮したいファイルやフォルダを選択し、右クリックメニューから「アーカイブに追加」を選びます。開いたウィンドウの「アーカイブ名とパラメータ」タブで、アーカイブ形式をRARに指定します。次に、「分割してボリュームを作成」という入力欄に、先ほど決定したサイズを単位付きで入力します。例えば、DVD用なら「4.7G」、メール用なら「15M」などです。

その下にある「圧縮方式」の項目では、必要な圧縮レベルを選択します。時間に余裕がある場合は「最大」を選び、速度を重視する場合は「標準」または「高速」を選びます。さらに、「詳細設定」タブでは辞書サイズを変更できます。通常はデフォルトの32MBで問題ありませんが、圧縮率を追求する場合は64MBや128MBに上げることも検討します。ただし、メモリ不足に注意してください。
設定が完了したら「OK」をクリックして圧縮を開始します。プログレスバーが表示され、処理が進みます。圧縮が終了すると、指定したサイズごとに「.part1.rar」「.part2.rar」といった拡張子のファイルが生成されます。これらのファイルはすべて揃っていなければ解凍できないため、保存や転送の際には欠落がないように注意してください。
注意点として、分割サイズを指定する際には、保存先のファイルシステムの制限を確認しておくことが挙げられます。FAT32形式のストレージでは4GBを超えるファイルを扱えないため、分割サイズを4GB未満に設定する必要があります。また、NTFSやexFATでは大きなファイルを扱えますが、転送先の環境によっては対応していない場合もあるため、相手の環境を考慮することも重要です。
さらに、圧縮中にエラーが発生した場合、出力される分割ファイルが不完全になる可能性があります。特に大容量のデータを圧縮する際は、ディスクの空き容量やメモリの状態を事前に確認し、安定した環境で作業を行うことをお勧めします。
まとめ
RAR圧縮時のファイルサイズの選び方は、単なる数字の入力ではなく、使用目的や媒体の制限、圧縮効率など多角的な要素を考慮する必要があります。分割サイズはメール送信やディスク保存の実用性を高める一方で、圧縮レベルや辞書サイズの調整により、最終的なファイルサイズや処理時間が変わります。適切な設定を見極めるには、実際のデータでテストを行うことが最も確実です。

本記事で紹介した手順や推奨値を参考に、ご自身の環境に合った最適な設定を見つけてください。ファイルサイズを正しく選ぶことで、データのやり取りや保存がよりスムーズになります。
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にしました。
TecMundo – "Aprenda a dividir arquivos RAR" https://www.tecmundo.com.br/produto/966-aprenda-a-dividir-arquivos-rar.htm
Guia Foca – "rar" https://www.guiafoca.org/guiaonline/intermediario/ch18s08.html
MundoBytes – "





